Camino week3:神聖な時間 vol.1

My Journey

こんにちは,あさみんです。

私は,2022年8月にイギリス留学を終えた後,スペイン・カミーノ巡礼をしました。

カミーノは,約1,000年以上の歴史のあるキリスト教の巡礼の道であり,世界三大巡礼の1つです。

フランスとスペインの国境にあるサン・ジャン・ピエ・ド・ポーからサンティアゴ・デ・コンポステーラを結ぶ,最もポピュラーなフランス人の道(Camino Francés約780kmを歩きました。

その後,サンティアゴ・デ・コンポステーラからフィ二ステーラ,ムクシアまでを結ぶ,フィニステーラ・ムクシアの道(Camino de Fisterra y Muxía約120kmを歩きました。

約900km,29日間かけて歩く中で得た,気づきや学びの経験を,「心の探求」の視点からまとめてみました。

さぁ一緒に,心の山歩(さんぽ)に出かけましょう。

Day15:EI Burgo Ranero – Leon (37.4km)

仲間の変化

朝からポルトガル人のエドガー,韓国人のソンと3人で歩いた。

昨日も,後半ハイペースで40km歩いたから,疲れがたまっているのが分かる。

仲間と歩くことで,何とか歩けている。

ペースダウンしそうな時に,彼らに引っ張ってもらえた。

2 人ともすごく優しくて,思いやりのある人たちだ。

エドガーの表情が,とても柔らかくなった気がした。

少し前まで抱えていた葛藤が和らいでいるのが伝わった。

ソンと2人の時に,私が感じ取ったエドガーの変化を伝えた。

そうしたら,彼も同じことを思っていた。

彼らが一緒に歩いている中で,エドガーはソンに結婚生活や仕事についてたくさん相談していたらしい。

彼の中で思考が整理されて,彼女との結婚の決意を固めたようだった。

そして,彼が髪を切ったのも,彼の固い意志の現れではないか言っていた。

午後は,レオンまで1人で歩いた。

みんなと一緒に過ごす中で感じ取ったことを,1人きりの時間で味わい,愛でたいと思うようになった。

この両方の時間が愛おしく感じる。

レオンが近くなると,交通量が多さと,充満する排気ガスで,変に疲れた。

信仰心の芽生え

夕方近くに無事,レオンに到着した。

私もみんなも,無事に辿り着けたことへの感謝の気持ち…そして,旅を続けられていること自体が嬉しい。

私は,キリスト教徒ではないせいか,大聖堂に足を運んでみても,正直なところ神聖な気持ちにはならない。

でも,明け方の星空の下,1人で歩いている時間は,1日で最も心が清らかで,美しいと感じる。

この世界と私が一体となっているような…そんな感覚を抱く。

この神聖な時間に,小さく呟きながら祈る。

大切な家族や友人のみんなが幸せでありますように

カミーノを歩く人たち,日本の人たち,世界の人たち

生きとし生けるもの全てが,心穏やかに,愛にあふれた1日を送れますように

宗教がタブー視されがちな日本で生まれて育ち,アイデンティティや信仰心というものを意識せずに生きてきた。

異文化に触れることで,自国の文化,宗教,政治への無知さに恥ずかしさを感じるようになった。

そして,日本人としてのアイデンティティを意識するようになった。

カミーノを歩きながら,八百万神を信じてきた日本人の信仰心が,私にもしっかりと根付いていることを感じる。

日本食は最高!

リオンの夜は,日本人のコウさんとヒロさん,ソンの4人で日本食レストランに行った。

カミーノで日本人の方とお会いしたのは,初めてだった。

日本語で話せるってやっぱり嬉しい。

レストランは€20で食べ放題だった。

この旅で1番豪華なディナー。

リオンまでヘトヘトになりながらも頑張って歩いた自分へのご褒美だ。

想像以上に美味しくて,アルベルケの門限ギリギリまで,ソンと私はメニューを手当たり次第にオーダーして食べ続けた。

このクオリティをスペインの地で食べられるなんて思わなかった。

世界に誇る日本食…やっぱり最高!

Day16:Leon – Hospital de Orbigo (32.0km)

深まる対話

昨夜,夕食を共にした,コウさんと歩きながら話した。

彼は,すでに定年退職している。

人生の中で,やりたいことの1つがカミーノだった。

長い間,宮城県で,医療業界で働いた経験のある方で,私のバックグラウンドと共通点が多かった。

そして,人生の先輩の話を聞くのはやはり興味深い。

私の研究内容やカミーノで感じ取っていることを話しながら,自分の思考が少し整理できた。

コウさんの話も聞かせて頂きながら,お互いが感じていることを率直に話せたことが嬉しかった。

日本人にとってカミーノがもっと身近な存在になれば良いよね

…そんな会話をしながら,彼とは途中で別れた。

アルベルケに到着後,ソンと河原でビール飲みながら語り合った。

今日は歩きながら何を感じていたのか,何を考えていたのか…

一緒に歩いていても,無言の時間は,お互いに自分の世界に入り込んでいる。

巡礼者が少なくなる午後は,1人で淡々と歩き続けながら,自分と向き合う大切な時間だ。

第二言語同士のコミュニケーション

カミーノでは,ほとんどの人が第二言語でコミュニケーションを取ることの苦労を経験する。

スペイン語しか通じないことも多いから,イギリス人やアメリカ人でさえ,宿のチェックインで悪戦苦闘していたりする。

言葉が通じない苦労を知っているからこそ,コミュニケーションに配慮が生まれる。

この時代に,英語圏の人が,言葉で苦労することなんてほとんどないよね。

そしてカミーノでは,みんな同じ痛みや苦労を経験しているから,相手の気持ちに寄り添える。

ピュアな愛に包まれた世界。

Day17:Hospital de Orbigo – Rabanal del Camino (37.3km)

地球規模で捉える

とても神秘的な朝だった

満月を見ながら歩き始めた

私は西へ西へと向かっている

満月が沈んでいく方向へ向かって,私は歩いている

月が西へと沈んでいく

私の背中を追うように,太陽が顔を出す

あぁ,太陽は東から昇ってくるんだ

地球が自転している

私は,この地球に存在している

あんなにも,まん丸で大きい月が沈んでいく姿を見届けたのは,初めてだった。

昔,理科の教科書で学んだ知識が,ありありと自分ごととして捉えた瞬間だった。

利他の気持ち

たくさんの人達に助けてもらうことで,私も誰かために何かをしようと行動することが多くなった。

今まで,見て見ぬふりをしていた私が,自分にできることからやろうとしている。

イタリア人のファミリーがパスタをお裾分けしてくれた

その感謝の気持ちとして,お皿を洗ってみる…そんな簡単なこと。

相手に見返りを求めない

お互いを思いやることが,当たり前の世界

誰かと比較し,比較されて,評価をして,評価をされていた頃

他者も,社会も,自分すらも信じられなくなっていた

今は,人って温かい,本当は悪い人なんていない

純粋にそう思う。

私には,今いる世界の方が心地が良い。

カミーノの中に暮らす人

不思議と今日は,人に会わない。

1人で黙々と歩く。

お昼に立ち寄ったBARは,ドイツ人の若い夫婦が経営していた。

彼らは,ドイツからスペインへ移住してきた。

奥さんは,BARを手伝いながら,オンラインでダンスの個別レッスンを教えている。

BARから10km程のインターネット回線の良い場所で,息子さんと犬の4人で暮らしている。

ドイツにいた頃に比べて,空気汚染や騒音がない,山と川,自然に囲まれて暮らす毎日。

BARに立ち寄る世界中の巡礼者との会話。

今は,とても幸せだと言っていた。

そんな人生,素敵すぎる。

Day18:Rabanal del Camino – Ponferrada (32.2km)

感動の涙

月とご来光のコントラストが綺麗すぎて,涙が出た。

…この涙の理由は何?

神様から,毎日頑張って歩いている私たちへのご褒美かも…って本気で思った。

朝から月明かりを頼りに,山を登った。

とても神聖な時間だった。

不思議と,今日はヘッドライトなしで歩いている人が多かった。

みんな,昔の巡礼者のように,人工的な光ではなく,月明かりを頼りに歩きたかったのかもしれない。

これ以上ないくらい,ベストタイミングでのご来光だった。

朝日と小鳥のさえずりとともに迎える朝…そんな毎日を送りたい。

より多くの人とつながるために,もっと英語を勉強したい。

いつかスペイン語も話せるようになりたい。

傲慢な私

アルベルケの中庭で,リヴァプール生まれ,オーストラリア育ちの40歳サイモンと出会った。

彼は映画の編集の仕事をしていて,契約が終わったタイミングでカミーノへ来た。

なぜ自分がここに来たのか…その答えを求めて歩いていると言っていた。

ブリティッシュらしい,シニカルさとユーモア溢れる彼は,母からプレゼントしてもらったマッサージ機をカミーノに持ってきていた。

15kgの荷物を背負い,ワンサイズ小さめの靴を履いて歩き続けた。

当然,水膨れが出来ていて,すごく痛そうだった。

「200ポンドのトレッキングシューズよりも,5ポンドのクロックスの方が大活躍だよ」

彼が皮肉まじりに,「僕は愚かだ,分かっているよ」と言うものだから,「本当,そうだよ!」なんて笑い飛ばしていた。

でもよく考えたら,私だって現金を持たずにカミーノへやってきた。

…私も,かなり愚かだよ。

ここでの生活に慣れて,小柄なアジア人にしては体力があること,足のトラブルもなく歩けている,私の傲慢さが出てきた瞬間だった。

カミーノのサンタクロース

みんなから「サンタクロース」と呼ばれる男性に出会った。

白くて長い髭が,あだ名の由来らしい。

彼は,カミーノのレジェンド的な存在らしい。

何十回もカミーノを歩いている彼の話を聞きたくて,彼と道中で会うと,食事に誘ってカミーノ話で花を咲かせるのが恒例らしい。

実際に,私が会った時も,他の巡礼者とディナーを楽しんでいた。

彼は,心臓の病気で何度か倒れて,ステントを2回も入れているらしい。

それでもなお,カミーノに戻ってきて歩き続けているんだって。

DDにサンタクロースの話をしたら,彼もその噂は知っていて,彼に声をかけてツーショット写真をパチリと撮ってくれた。

見ず知らずの輪に,すんなりと違和感なく入り込んでいく彼は,やっぱりすごい。

カミーノと登山の決定的な違いは,ケガ・死のリスクだなって思った。

カミーノでは,多少無理をしたって死ぬことはない。

雨の日だって,風の日だって,真っ暗だって,当然のように歩く。

でも,登山は,無理をしたら怪我をする。

死ぬリスクも伴う。

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