Camino week0:別れと新たな旅立ち

My Journey

こんにちは,あさみんです。

私は,2022年8月にイギリス留学を終えた後,スペイン・カミーノ巡礼をしました。

カミーノは,約1,000年以上の歴史のあるキリスト教の巡礼の道であり,世界三大巡礼の1つです。

フランスとスペインの国境にあるサン・ジャン・ピエ・ド・ポーからサンティアゴ・デ・コンポステーラを結ぶ,最もポピュラーなフランス人の道(Camino Francés約780kmを歩きました。

その後,サンティアゴ・デ・コンポステーラからフィ二ステーラ,ムクシアまでを結ぶ,フィニステーラ・ムクシアの道(Camino de Fisterra y Muxía約120kmを歩きました。

約900km,29日間かけて歩く中で得た,気づきや学びの経験を,「心の探求」の視点からまとめてみました。

さぁ一緒に,心の山歩(さんぽ)に出かけましょう。

ぼんやりと見えてきた私の姿

2022年8月19日(金)PM5:00 修士論文 最終〆切

この最終課題の提出と共に,私のイギリス・リヴァプールでの留学生活は幕を閉じました。

この頃までに,後悔しないように,自分のやりたいことを全力でやるという自分の軸が明確になっていました。

人生に正しい,間違いなんてない

重要なことは,私は何をしたいのか,私は何を大切にしたいのか

その軸をベースに,道を選んでいくこと

そうすれば,後悔はない

後悔したとしても,自分が決めたことだから,誰かを責めることもない

楽しいこと,苦しいこと,その両方があるから人生に深みがでる

私にとって,困難は成長のチャンス

自分の弱さと向き合いながら,それでも自分なりの答えを出していく

人生を長い目で見る,そしてその一瞬一瞬を全力で楽しむ

留学生活の中で,少しだけ楽観的になり,物事に対する視点が広がったような気がしました。

最終週の日課の散歩中に,アイルランド出身のおじさんに声をかけられて,一緒に歩きながら会話をしました。

「君のような笑顔が溢れたら,世界はもっと良くなるのに」

この言葉をかけてもらって,この地で私はたくさんのエネルギーをもらっていたことに気付きました。

私自身がフル充電されていく中で,自分の内面から放たれるエネルギーが,笑顔となり,誰かの力になっていたのかもしれないと感じました。

私には,リヴァプールで出会った2人の親友がいます。

彼らには,いつも与えてもらってばっかりでした。

彼らが教えてくれたことの1つは,幸せは,実はとてもシンプルであるということです。

例えば,平日の夕方仕事終わりに,お弁当を作って公園でピクニックを楽しむ,

家で暖かいランプの灯と共に会話を楽しみながらディナーを楽しむ,

電車で隣同士に座って,イヤホンを片耳ずつ付けながら同じ曲を一緒に聴いて楽しむ,

…至ってシンプルなことです。

でも彼らと過ごす時間は,言語・文化・人種・年齢・性別を超えて,深いつながりを感じる,とても愛にあふれる時間でした。

日本にいた頃,私はこんな贅沢な時間の使い方はできませんでした。

「あれをしないと,次は,これをしないと」と,常にタスクに追われる日々でした。

どうしたら1番効率的なのかと考えながら,結局,常に時間に追われていました。

そして彼らに共通していたのは,現状に満足せずに,成長し続ける姿でもありました。

自分自身が心から好きなことと,社会課題を掛け合わせてビジネスに落とし込み,夢中になって仕事を楽しんでいました。

私は,彼らが起業家としてもパワーアップしていく姿を見ながら,私もこんな姿を目指したいと心から想ったのです。

無事に修論提出を終えた翌朝,1年間過ごした学生寮を引き払って,スペインへ旅立ちました。

揺れ動く心

リヴァプール・ジョン・レノン空港からの旅立ちの朝…

早朝に目覚めて,別れが悲しくて泣いていました。

今までみたいに親友にすぐに会えなくなる…そして,私は私の道を進まないといけない…

新たなスタートを実感した瞬間に,無性に悲しく,心細くて,涙が溢れました。

離陸を待つ間も,心はずっと揺れ動いたままで,とても不安定な状態でした。

あと数日,数週間もしたら,この淋しさや孤独にも慣れる…新たな出会いと共に,楽しんでいる自分がいると,頭では理解できます。

それでも,私の心は,別れの悲しみで支配されていました。

その時,親友からの「再会できることを心から祈っている」とメッセージが届きました。

ふと…この地で,彼らに巡り会えたこと自体が奇跡であったことに気づきました。

「留学」という,大きなインパクトだからこそのようにも思えますが,人生,いつ,何が起こるかなんて,誰にも分からないのです。

どんな出会いも,どんな瞬間さえも,全く同じものは二度と訪れないのです。

そして,私も彼らとの再会,そして大切な親友の幸せを,心から祈ったのでした。

悲しみを100%味わい切った後,機内で爆睡…

バルセロナ到着後に新鮮な空気を吸ったら,とても気分がスッキリしていました。

その後,数日間ガウディ作品に心奪われながら,英気を養いました。

そして遂に,カミーノ・フランス道の出発地 サン・ジャン・ピエ・ド・ポーへと向かいます。

NO CASHで出発地サン・ジャン・ピエ・ド・ポーへ

カミーノ出発準備…私の中では,2ヶ月位前から少しずつ,きちんとやっていた…つもりでした。

飛行機の予約,バルセロナ滞在中の宿予約,PCR検査予約,持ち物準備,1日20km以上歩くための体力作りなど…

あとは,パスポートとお金さえあれば,なんとかなると妙な自信があったのも事実,修論執筆に追われて,いつもの大雑把な性格が全開であったのも事実です。

実際行ってみると,カミーノを歩き始める前からアクシデント勃発…半泣き状態でした。

まずは電車で,バルセロナから牛追い祭りで有名なパンプローナを目指します。

その道中,完全に私のミスで,滞在中に使用予定だったクレジットカードが凍結状態になりました。

至急,別のカードへ海外送金をして対応できたものの,パンプローナでは無一文状態でした。

翌朝は,パンプローナからサン・ジャン・ピエ・ド・ポーへ移動するため,前日と同じ駅へ向かいました。

到着後,出発ホーム確認のために,掲示板を眺めてみても,サン・ジャン・ピエ・ド・ポー行きの電車が見当たりません。

すぐに窓口で確認すると,電車移動だと思い込んでいたら,実はバス移動であったことが判明しました。

そして長距離バスターミナルまでは,徒歩で30分,近くのバス停から15分かかるとのことです。

朝から,気分ルンルンに1時間近く駅まで歩いてきました。

加えて,サン・ジャン・ピエ・ド・ポー行きのバス発車まで時間もなかったので,市内バスでターミナルへ向かうという選択をしました。

ところが運賃を払おうと「ピッ」とクレジットカードをかざしても反応しません。

運転手さんは全く英語が話せず,スペイン語で何かを伝えてくれます。

私は,ヨーロッパ圏内は,どこでも英語が通じると思い込んでいたのですが,実際はスペイン語しか話せない方も多かったのです。

私はスペイン語が全くわからず,言語を介したコミュニケーションが取れない状況でした。

それでも,CASH ONRYであることがニュアンスで理解できて,「現金を持っていない,カードしかない」と,必死に英語とボディランゲージで伝えたところ,「いいよ,乗りなさい」…と,運転手さんが言ってくれ(たように聞こえて),乗車させていただくことができました。

しかし,ローカルなスペイン人で混み合うバスの中,「無事に,乗り継ぎのバスに間に合うかなぁ」とハラハラな状態でした。

隣に立つスペイン人の女性に,「長距離バスターミナルで降車したいのですが,次のバス停で間違いないですか?」と声をかけてみるものの,その方にも英語は通じません。

それでも,私の意図を必死にくみ取ってくれて,「次のバス停で間違いないよ。バスターミナルは,降車場から反対車線に渡らないといけないから注意してね」と,親切に教えてくれました。

さらに私の状況を察してくれた,女子学生2人組は,降車ボタンを押して,バスターミナルでの降車を助けてくれたのです。

色々な人に助けてもらいながら,無事にバスターミナルへ到着,そしてサン・ジャン・ピエ・ド・ポーへ向かうことができました。

そしてサン・ジャン到着後,巡礼者っぽい人たちが集まっている場所へ,導かれるように向かってみると,そこは偶然にも,カミーノ巡礼オフィスでした。

そこは巡礼をスタートする前に,ボランティアスタッフの方々が様々なアドバイスをしてくれる場所です。

私に対応してくれた方は,何度もカミーノ巡礼経験のあるバルセロナ在住のスペイン人女性でした。

彼女はバケーション期間中で,事務所でボランティアスタッフとして働いていました。

クレデンシャルと呼ばれる巡礼手帳を発行してもらうと,「今夜のアルベルケ(巡礼者用の宿)は予約したの?まずは宿を確保しなさい。そしたらまた続きを説明するからまた来て」と,アドバイスをもらい,すぐに宿探しへ向かいます。

他の巡礼者が入っていく公用アルベルケに,私も向かいましいた。

そして,いざチェックインしようとした時に,目に入ってきた「CASH ONRY」の手書きのビラ…正直,青ざめました。

その時点で,所持金ユーロ0€,ポンド10£だったのです。

恥ずかしながら,イギリスではキャッシュレスだったので,「同じヨーロッパだし,スペインもカードがあれば大丈夫だろう」と本気で思い込んでいました。

観光化された大都市バルセロナは,問題なく過ごせましたが,私がいる場所は,巡礼者で賑わうローカルエリア…カードが使える場所は少なかったのです。

アルベルケの方に事情を伝えると「宿代は後で良いから」と,チェックインだけ先に済ませてくれてました。

荷物をデポしてすぐに,先ほどの事務所へ戻りました。

そして,先ほどのスタッフの方に状況を伝えると,「カミーノの道中,ほとんど現金しか使えないから,ATMで降ろす必要がある」とアドバイスをくれた上に,上司に許可を取って,ATMまで私を連れて行ってくれたのです。

さらに「カミーノはとても安全だけれど,アジア人はお金を一度にたくさん使うので,お金持ちだと思われている。充分に気をつけなさい。お金は分散させて所持しておくように」とアドバイスしてくれました。

その後,オフィスへ戻って,旅路の注意点などを詳しく説明してくれたのです。

スタート前から,思い込みで行動してしまう私の悪い癖が大勃発,そして,たくさんの人々の優しさに触れるという状況でした。

そのようにして,ようやくカミーノの旅のスタート地点に立てた時,感謝の気持ちを噛み締めながら,私が頂いた恩をきちんと返していこうと心に誓ったのです。

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